- 伊藤計劃とは、どんな人物なのか
- 彼の残した3つの作品
- 『屍者の帝国』
・伊藤計劃とは、どんな人物なのか
伊藤計劃(いとう・けいかく)1974年生まれ。SF作家。
彼は2009年、8年半にわたって闘病した癌によってこの世を去っています。
34歳の若さでした。
作家としての活動期間はわずか2年程。出版された小説は長編3作と中短編5作、絶筆となった長編導入部などその数は多くありません。
ですが伊藤計劃という名と残した作品は、彼がこの世を去って尚、存在感が増していった様に感じました。
・彼の残した3つの作品
私が伊藤計劃氏を知るきっかけになったのが長編3部作品である、『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』のアニメ映画化。
それから小説を読み始めたので私の持っている『虐殺器官』と『ハーモニー』は表紙がアニメ映画のデザインのもの。
まず『虐殺器官』これは伊藤計劃氏のデビュー作であり、2007年に発表。「ベストSF2007」と「ゼロ年代SFベスト」国内篇第1位。2010年に文庫版が刊行された。
ストーリーを私が要約するにはあまりに複雑で困難なので文庫に記載されている内容紹介文を引用させて頂きます。。
9・11以降の”テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……
彼の目的とはいったいなにか?
大量虐殺を引き起こす”虐殺の器官”とは?現代の罪と罰を描破する、ゼロ年代最高のフィクション
私は読んだ感想としては、全体的に哲学の要素が強く、何が正しいのかを考えさせられます。そしてそのうやむやな状態で今も世界は動いてるんじゃないか?と問われた気分です。
描写もインパクトが強い部分が多々あり、そこに引き込まれる一面もあればあまりの強さに疲れを感じる面もあります。
人が虐殺を起こしてしまう”トリガー”本当に本の設定というだけなのだろうかと不安に思うほどリアルに感じます。
読みきった後の満足感や達成感を得られるストーリーでは無いですし、内容も難しく読み始めに苦戦するタイプの本なので、苦手そうだけど内容は気になるという方は映画でも良いかもしれませんが私は映画の方は観ていないので、内容に差があったらすいません。。
次に『ハーモニー』ですがこちらは『虐殺器官』発表の翌年、2008年に発表されて、第40回星雲賞(日本長編部門)および第30回日本SF大賞受賞。「ベストSF2009」国内篇第1位。『虐殺器官』と同じく2010年に文庫版が刊行されました。間接的な続編にあたるらしいでが物語上、直接的に繋がっている訳では無いようなので本作単独でも楽しめます。正直私は続編とは全く気づかずに読みきっています。(お恥ずかしい、、)
こちらもまず文庫に記載されている内容紹介文を引用して物語を紹介していきたいと思います。
21世紀後半、<大災渦>(ザ・メイルストロム)と呼ばれる世紀的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する”ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択した…それから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰に、ただひとり死んだはずの少女の影を見る…『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。
『虐殺器官』では内戦と虐殺の世界。一方、『ハーモニー』では、医療が発達した病気の無い絶対的な平和の世界。
この二つの作品は合わせ鏡の様に対の世界が描かれているのが面白い特徴です。
やはり『ハーモニー』も深く考えさせられる内容で、各個人の健康状態が国によって全て管理され健康を維持する。未来ではこうなっているかもしれないし、病気も無く平和と聞くと素晴らしい世界だと感じるが、実際には何の不安も不満無い訳ではないし何を持って『平和』と呼ぶのかその『意識』が重要なテーマに感じられました。
なによりも思うことは伊藤計劃氏がこの作品を癌との闘病の中書き上げているという事。
伊藤計劃氏の訴えかける強い想いが感じられます。
・『屍者の帝国』
紹介したい3つの作品。最後の1つが『屍者の帝国』ですが、実は私はこの作品を読んでいません。
伊藤計劃氏がこんなに凄い人なんだ!と言ってる人がまさか読んでいないなんて。。、
と思う方も居ると思います。すいません。。
私がこの作品を読んでいない理由はこの作品が特殊な作品だからです。
『屍者の帝国』の冒頭、草稿30枚を執筆したところで伊藤計劃氏はこの世を去りました。
その書き残した草稿を、伊藤計劃氏と親しく、同時期にデビューした作家円城塔氏が、遺族の承諾を得て、完成させた作品が『屍者の帝国』です。
私は円城塔氏が嫌いな訳でも『屍者の帝国』の内容が嫌いな訳でも無いですが、何となく読む姿勢になれませんでした。
私が『虐殺器官』『ハーモニー』を読んだのはもう5年ほど前になると思いますが、この記事を書いているいま『屍者の帝国』を読んでみようかなという気持ちが少し芽生えてきました。
近いうちに読んでみようかと思っているのでその際はまた感想をあげたいと思います。
皆さんも外出自粛などで家で過ごす時間が多くなっていると思いますのでこの機会に伊藤計劃氏の作品を本でも映画でも興味が湧いたら観てみて下さい!
最後まで読んで頂きありがとうございました。ではまた。